ジョギングで多摩の自然と歴史を極める−原田環爾さん−

定年2年前、多摩交流センターのTAMA市民塾講師募集に娘さんの勧めで応募。原田さんが多摩各地をジョギングして調べた「多摩の道紀行」や「多摩の伝説を巡る小さな旅」の講座は大人気。終了後も受講生が自主グループを作り、原田さんはその講師として、また市民塾理事として多忙な定年後を送っている。

ジョギングを始めたのは大手繊維化学メーカーに勤務していた40代後半、ぎっくり腰になったのがきっかけだった。リハビリを兼ねてウォーキングから始め、歩くだけでは遠くまで行き着けないので、多摩のあちこちを時速8km位で走るように。何せ若い頃会社のサッカー部で鍛えていた足である。週末毎に続けているうちに、道沿いに古い遺構や草むらに埋もれた石仏などに気がつき始めた。8、9年前たまたま『玉川兄弟』(杉本苑子著) を読んで感銘を受け、もともとの歴史好きに火がつき多摩の歴史、特に古道への関心が高まった。

こうして図書館で古い書物を調べ、実踏し自分の目で確かめ、6年前にはホームページ「多摩のジョギング道」を立ち上げ、現在、独自で開拓した計121ものコースを紹介。その詳細情報は読む人が唸るほど、多摩の自然を愛する気持ちと古のロマンがぎっしりと詰め込まれている。30年やっているパソコンはNPO団体で指導する腕前。ジョギングと調査力とパソコン技術が強力にマッチングして、内容濃いホームページが生み出されている。

60歳で定年の時、関連会社へと盛んに誘われたが、「好きなことをやりたいから」ときっぱり断った。それから2年余り、「好きなこと」を教える立場になり、人の輪が大きく広がった。スケジュール満杯の目下の悩みは「自分で走る時間が取りにくくなったこと」。「何の変哲もない道も宝の道。多摩地域のどこに公衆トイレがあるか頭の中に入っている」という多摩の達人は今後、歴史的に多摩に縁がある域外の地も目指したいと張り切っている。(取材・ほのぼのマイタウン)

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定年退職をし、住み慣れた街でセカンドライフを送る団塊世代が元気です。このページでは、東京TAMAタウン誌会の企画により、多摩地域で生き生きと暮らす団塊世代を中心に紹介します。