遠くて近い中近東

 「中近東文化センター」は、テレビショッピングでよく聞く通販会社に名前がちょっと似てるけど、れっきとした研究機関だ。博物館でもあり、学術書を中心とした図書館も併設する。日本における中近東文化研究の中心的役割を担い、知る人ぞ知る存在だ。それは三鷹市大沢にある。

 センターは、三笠宮崇仁親王殿下のご発意のもと、出光興産株式会社の全面的な協力を得て1979年に開館された。三笠宮殿下が国際基督教大学(ICU)の講演に招かれ、講演後の中川学長(当時)との昼食時に建設候補地を探していることが話題になった。当時ICUの牧場跡地が空いていたこと、ICUルーテル学院大学東京神学大学に囲まれ、研究の場として恵まれていたことなどでこの地に建設された、というのが三鷹にある理由のようだ。周辺は緑あふれる静かな環境で、モダンな建物と整備された庭が美しい。建物の細部もどことなくオリエントの香りだ。しかし貴重な美術品を所蔵するだけに、防災設備等、施設はタフにつくられている。 

 今回、武蔵野市三鷹市の両市が手をつなぎ、10月に再開される。土屋正忠武蔵野市長は「イスラム文化の理解は比較的手薄な部分だけに、センターの存在は貴重。話し合いながら継続して支援していきたい」と、清原慶子三鷹市長は「これまでの中学生の見学などの交流に加えて、さらに多くの市民の皆さんに世界の人々の関心を集めている中近東の歴史や文化への理解を深めていただき、支援の輪を広げていきたい」と、覚書締結にあたりあいさつされている。 

 開館日は水、金、土曜日。再開最初の企画展は「ペルシアの陶器」だ。武蔵野・三鷹両市民は当面の間、100円で入館できる。 ご自身も中東在住の経験を持つ事務局長の中山幸彦さんは、「遠い国のようだけど、陶器や食器などの展示品をみると、人間は大昔から基本的に考え方は変わらないんだって気づきます」とおっしゃる。また、「欧米のフィルタを通さない、日本からダイレクトにみた中近東」の視点であると聞き、はっとした。 せっかくの機会だから、みるまま、感じるまま、中近東に浸ってみたい。


中近東文化センター
所在地:〒181-0015 東京都三鷹市大沢3-10-31
     Tel 0422-32-7111 Fax 0422-31-9453
開館日:水曜日、金曜日、土曜日の週3日
開館時間: 10時〜17時(入館は16時30分まで)
入館料: 一般 800円  高大学生 500円
団体15名以上 200円割引 65才以上及び中学生以下は無料

http://www.meccj.or.jp