江戸ソバリエ認定委員に教えてもらった 粋にまちを楽しむぞ

 皆さま「ソバリエ」ってご存知ですか?「ソバリエ」とは読んで字のごとく「お蕎麦のソムリエ」のことです。
 その仕掛け人、NPO神田雑学大学の理事長、三上卓治さんがわれらが三鷹の井の頭にお住まいということで、お話をうかがってきました。

 もともとは、吉祥寺雑学大学(※1)世話人をやっていらっしゃった三上さん。 講師の人の話をもっとたくさんの人に聞いて欲しい、とパソコン通信で配信し始めたのをきっかけに、人の輪が広がり、神田雑学大学(※2)を立ち上げられました。
 この神田雑学大学が「美学があり、歴史や粋に通じるそば文化を発信しよう」と千代田区に提案して、「ソバリエ」認定事業が昨年から始まりました。これは、江戸蕎麦学を修めると、ソバリエの認定を受けられるようになるしくみです。三上さんは認定事業実行委員長をしてらっしゃいます。

 江戸蕎麦学とは何か? それは、耳学、手学、舌学、脳学から構成されています。
 耳学とは、専門家による座学で、蕎麦粉、蕎麦づくり道具と食器、江戸蕎麦、薬味、世界の蕎麦料理、日本食文化と蕎麦の六章からなっています。その次が手学の蕎麦打ち体験講座。講師は蕎麦老舗の若旦那と数人の助手だそうです。
 その講座を受けている期間中に、受講者は自分の時間と費用で10店程度の「蕎麦の食べ歩き」を行います。あらかじめ教わったチェックポイントを確認し、蕎麦粉と繋ぎの割合を店主に訊ねたり、出汁の材料を推定したりして、結果を「舌学ノート」に記入するのです。
 そして総合的な勉強成果を2000文字程度のレポートにまとめて提出します。これが脳学。レポートは厳正に審査され、合格者に「江戸ソバリエ認定証」が授与されるという仕組みです。受講者の方は、みんなとても楽しそうにやっていらっしゃったとか。
 さらに、受講者は昨年はおよそ450人いらっしゃったそうなので、江戸の蕎麦業界に落ちたお金は?と考えると、なかなかすごいことです。

 三上さんは蕎麦の話をし始めるととまりません。さすがいろんなことをご存知で、ソバリエ講座の裏話や蕎麦の薀蓄話など、話題が尽きることはありません。もし、蕎麦屋で取材をしてたら、思わず「三上さん、お蕎麦伸びますよ!」と言ってしまいそうです。
 でも、そんな三上さんのお話には、まちを、生活を楽しむヒントがたくさん詰まっています。皆さまも休みの日には、蕎麦じゃなくても自分の好きなもので、耳学、手学、舌学、脳学をやってみてはいかがでしょう?

 ところで、「三鷹でソバリエみたいなものをつくるなら、何がいいですかねえ?」とまぬけな質問をしたら、「住んでいるのは、井の頭だから、ほとんど吉祥寺にしか行かないけど」と前置きした上で教えてくれました。
 「このあたりは実は、こだわりの美味しいコーヒーを出す喫茶店が多いんですよ。コーヒーも蕎麦と同じで水が大事なんですよね。この辺の水はね・・・」と、またも薀蓄が。

 三上さんの話はいつまでも続くのでありました。三上さん、コーヒー冷めちゃってますよ!(ま


江戸ソバリエ
http://www.asahi-net.or.jp/~ne4k-tgc/kanda/sobarie/sobarie.htm

※1 吉祥寺村立雑学大学
http://hst.tokyo-net.ne.jp/kichijoji/zatudai/
吉祥寺のまちで約25年間、毎週日曜日、欠かさず続いている全くのボランティア
(場所代タダ、講師料タダ、会費など総てタダ)の、NPO法人にすら面倒で金が掛
かるからならないという市民・ョ(?)。毎週多彩な講師を招聘して、皆で、何でも
勉強する・話す・聴く・見る、そして楽しむ活動。

※2 神田雑学大学
http://www.asahi-net.or.jp/~ne4k-tgc/kanda/
神田雑学大学は99年4月、シニア向けの雑学講座開催を目的に発足し、毎週金曜
に、これまた、場所代タダ、講師料タダ、会費など総てタダの「3タダ方式」で17
0回以上の講演を開き、記録をホームページで公開している。