まちの郵便局の使い方教えます。 マキノさんの郵便局

 三鷹井の頭郵便局に行ってみよう。
 きっと、あなたの思っている郵便局「らしくない」郵便局だから、一見の価値がある。でも、それはとても、井の頭「らしい」郵便局なのだ。

 局長の牧野洋子さんはこう言う。
 「郵便局って言うのは、昔からまちの老若男女いろいろな人がアクセスしてきて、コミュニケーションが生まれる場所。つまり、地域の文化が醸成されている場所なんです。昔は、まちのお米屋さんやお酒屋さんもそんな場所だったけど、コンビニにとって代わられて、いまでは、郵便局が最後のそういうスペースになっているのかもしれない。」

 例えば、この春、井の頭に引っ越してきた人が、郵便局に手紙を出しに来たついでに、お金を下ろしにきたついでに、まちのことを気軽に聞いていく。そこで新しいコミュニケーションが生まれる。井の頭郵便局には、カフェかと見間違うほど、地域の情報がたくさんあって、そんな「ついでコミュニケーション」が生まれやすいスペースになっている。
 まちのわからないことがあったら、郵便局で聞いてみよう。

 こんな話もある。今までまちの郵便局なんて行ったことがない定年退職後の男性。奥さんに「ちょっと!家でごろごろしてるなら郵便局でも行ってきてよ」なんて言われて、しぶしぶ郵便局に来た。これまで会社の中でだけ生きてきて、これからどう地域と関わっていいかわからなかったお父さんも、この「郵便局デビュー」を果たしたことがきっかけで、地域の活動に参加しはじめたとか。今ではついでどころか、世間話をしに郵便局に来るようになっているらしい。
 まちデビューの入り口は郵便局から。

 井の頭郵便局にはそんな地域メディアとしてのしかけがいっぱいある。局長の牧野さんが、昔メディアの世界にいたからそうなのかな?と聞いてみると、牧野さんは首を横に振った。
 「郵便局は地域の鏡です。井の頭には、井の頭公園というランドマークがあるため、地域を愛する人、誇りをもっている人がたくさん住んでいる。郵便局はそんな地域のみなさんに育てていただいているんです」

 郵便局に対する見方をかえてみよう。まずは、三鷹井の頭郵便局にいってみることをお勧めします。(ま)